医科器械学
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II. 乾燥した使用済み鋼製小物の有効な汚染除去方法 : 鋼製小物の洗浄ガイドライン2004
大久保 憲小林 寛伊新井 晴代本田 宏志日置 祐一伏見 了島崎 豊栗木 恭治
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2005 年 75 巻 7 号 p. 400-405

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抄録

鋼製小物に付着した血液, 体液, 組織片などの汚れは, 微生物の生存や成長の源となる. それらの汚染物が乾燥すると殺菌剤の効力が減弱するのみならず, 血液, 蛋白などの有機物汚染が変性固化して除去しにくくなる. このような汚染は変化する前にできる限り除去しておくことが望ましい. 適切な洗浄は, その後の消毒, 滅菌が有効に行えるかどうかの鍵を握る重要な処理である. 最も洗浄が困難な消化器内視鏡でも汚染微生物数が平均410g(4桁:99.99%)以上減少(1/10,000に減少)することが明らかになっている. このように洗浄は, 表面の有機, 無機の汚れを除去するのみではなく, 微生物もその大部分を除去できる効果的な方法である. ここでは, 乾燥して固化しないための方策と乾燥した汚染物の除去方法についてまとめてみる. 1. 乾燥を防止するための方策 1-1. 乾燥による汚染の固化防止の必要性 1)血液などの汚れが乾燥すると, 血液凝固や蛋白質, 多糖類, 脂質などの固化が起こり, 洗浄が困難な状態に変化する. 2)鋼製小物を長時間にわたり生理食塩水, 血液, 体液などと接触させておくと錆の発生の原因にもなる. 3)汚染物が付着したまま放置して乾燥した鋼製小物の表面には, 腐食が確認されることがある.

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© 2005 一般社団法人日本医療機器学会
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