医科器械学
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III. 日常業務における鋼製小物の洗浄効果判定方法 : 鋼製小物の洗浄ガイドライン2004
伏見 了小林 寛伊大久保 憲中田 精三山本 友三佐々木 恵子及川 敦子
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2005 年 75 巻 7 号 p. 406-409

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抄録

外科的処置や手術に使用した鑷子や鉗子などの鋼製小物は, 洗浄により血液などの付着物を取り除き, その後に, 消毒と滅菌工程を経て再使用されなければならない. 洗浄後の残存物の有無を, 従来は洗浄担当者が目視にて確認していたために, 判定結果に個人差を生じやすく, 自施設における洗浄工程の客観的評価はもとより, 施設間の意見交換にも支障を生じていた. しかし, 最近になり洗浄後に残存している蛋白質や細胞代謝産物を簡単, 迅速かつ定量値として知り得る方法が開発され, 洗浄効果を具体的な数値で判定して, 洗浄の質を保証することが可能となった. さらに, 血液成分や油脂および色素などをステンレス板やプラスチックシートに塗布した洗浄評価用インジケータも利用可能である. インジケータを汚染した鋼製小物と一緒に洗浄し, 塗布物が完全に洗浄されたことを確認することで, 間接的にではあるが汚染した鋼製小物の洗浄効果を判定することができる. 1. 洗浄効果判定の必要性 医療用洗剤として, 従来はアルカリ性洗剤がおもに使用されていたが, 最近では中性付近で, しかも汚染物に含まれる蛋自質や脂肪を特異的に分解可能な酵素を含有する洗剤が開発されてきた.

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© 2005 一般社団法人日本医療機器学会
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