日本心臓血管外科学会雑誌
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原著
僧帽弁形成術後の左房リバースリモデリングにリングサイズと体格が与える影響についての検討
浅野 竜太中野 清治佐藤 敦彦片岡 豪立石 渉
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2018 年 47 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

[目的]僧帽弁形成術後に左房負荷軽減により左房リバースリモデリングがおこるが,一方でリングによる僧帽弁狭窄も指摘されている.今回,体格とリングサイズが僧帽弁形成術後の左房リバースリモデリングに与える影響について検討した.[対象と方法]僧帽弁形成術60例において,経胸壁心エコーで術前と術後遠隔期後の左房容積を比較した.体格とリングサイズのミスマッチの指標としてリングサイズ/BSA値を定義して,他の因子とともに左房縮小率に影響するか検討した.全例にリングを使用し,平均リングサイズは28 mmだった.観察時期は術後17±6月だった.[結果]左房容積は術前82±37 mlから47±20 mlに縮小しており,左房容積縮小率は39.8±18.6%,術後僧帽弁最大圧較差は7.5±3.0 mmHgだった.リングサイズはBSAよりも身長と相関が強かった.リングサイズ/BSA値は17.7±2.1 mm/m2 だった.多変量解析において,左房容積縮小率に影響を与える因子として,リングサイズ/BSA値,術前左房容積,年齢が有意であった.リングサイズ,僧帽弁最大圧較差,リングのみ,術後TRPGは有意ではなかった.[結語]僧帽弁形成術におけるリングサイズと体格のミスマッチは左房リバースリモデリングを妨げる因子の1つと考えられた.リングサイズ/BSAはミスマッチを表す指標として有用であると考えられた.

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