脊髄外科
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脊椎脊髄疾患の治療に関する指針(ガイドライン)
脊椎脊髄疾患の神経症状の評価方法に関する指針
—臨床研究に用いられるスコアリングシステム—
金 景成佐々木 学川本 俊樹小柳 泉日本脊髄外科学会学術委員会
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2016 年 30 巻 1 号 p. 41-52

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抄録

 ここに示す脊椎脊髄疾患の神経症状の評価方法は, 症状のスコア化であり, 臨床研究に使用されるものである. 種々の疾患を対象として多くの評価方法が使用されている. 実際の臨床の場での個々の患者の評価は, 厳密な神経学的診察と臨床所見によって行われるべきである. しかし, 治療成績の分析・評価を行う臨床研究としては, 複数の症例の症状をスコア化する必要がある. 本指針では, 脊椎脊髄疾患の各種評価方法 (スコアリング法) について, 現在どの疾患にどのような評価方法が行われているかを文献のレビューから提示した. 文献のエビデンスレベルの評価や, 推奨レベルの決定は行っていない. 本指針の目的は, 脊椎脊髄疾患の臨床研究の計画と評価方法の決定に役立てることである.
 本指針では, これまでの文献で多く採用されてきた各種評価方法を解説し, 臨床研究間の比較に有用な共通言語として紹介した. しかし, そのことは, 新たな評価方法の導入・開発の妨げになってはならないものである. 評価方法 (スコア化) は, 患者が示す症状の一部を, 臨床研究において統計学的解析を可能とする変数の1つに置き換えることであり, すべての症状・臨床経過をスコア化することは不可能である. 研究目的に応じたスコア化が必要といえる. 本指針は, 臨床研究の方法を示すガイドラインではない. 今後の脊椎脊髄疾患の臨床研究計画や, より有用な評価方法の構築の参考にするために, 現時点での知見を示したものである.

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© 2016 日本脊髄外科学会
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