2018 年 35 巻 3 号 p. 715-721
内側型側頭葉てんかん(MTLE)は、てんかん外科手術の良い適応で、10万人当り1名程度の手術適応症例があるとされるが、特有の発作症状を理解しないと容易に見落とされる。北海道胆振西部地域(人口20.5万人)の医療圏の中で、9年間にMTLEに対する手術症例を3名経験し発作の抑制を得た。これらの症例は、当初発作起始部位が未定の症候性局在関連てんかんとして治療されていたが、抗てんかん薬治療に対して難治に経過した。特徴的な臨床症状の気付きによって、神経画像検査、電気生理学的検査が施行され、診断確定がされたが、てんかん発作の発現から診断確定まで5~11年(平均:7.3年)、手術終了まで6~11年(平均:8.3年)を要した。MTLEは、5~10歳に発症し、初期の診断治療は一般小児科医が携わるが、臨床病態の知識がないと容易に見落とす可能性がある。その臨床的特徴を知ることは、患児の予後改善の為に重要である。