日本ハンセン病学会雑誌
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ハンセン病治療指針 (第3版)
後藤 正道野上 玲子岡野 美子儀同 政一四津 里英石田 裕北島 信一甲斐 雅規石井 則久尾崎 元昭畑野 研太郎
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2013 年 82 巻 3 号 p. 143-184

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抄録

 日本ハンセン病学会・医療問題委員会・治療指針と治癒判定基準に関する小委員会 (指針委員会) では、学会としての標準的なハンセン病治療指針を2000年に作成し、2006年に改訂を行った。今回の改訂では、新しい抗菌薬、サリドマイドの保険適用、薬剤耐性の遺伝子検査、慢性疼痛・神経障害性疼痛の治療を新たに加え、他の部分にも手を加えた。治療の基本は変更なく、少菌型ではWHOの多剤併用療法 (MDT) 通りに6ヶ月間のWHO/MDT/PBを採用し、多菌型 (MB) については、 (A) MBで治療前に菌指数BI (3+) 以上の場合、原則としてWHO/MDT/MBを2年間継続する。経過中の皮疹の吸収が良好で2年間終了時点で菌陰性であれば、維持療法なしで1年間の経過観察をする。2年間終了時点で菌陽性ならば、あと1年間すなわち計3年間のWHO/MDT/MBを行い、その後は菌陰性で活動性病変がなくなるまで、ジアフェニルスルホン+クロファジミンなどの2剤以上の組合せで維持療法を行う。皮疹の吸収が遅ければ耐性菌の可能性を検討する。また、(B) MBで治療前にBI(3+)未満あるいは発症後極めて早期(6ヶ月以内)でBI(3+)以上の場合には、原則としてWHO/MDT/MBを1年間行う。治療開始後1年以内に菌陰性化して活動的臨床所見がなければ、維持療法なしで経過観察とする。菌陽性あるいは活動性臨床所見があれば、WHO/MDT/MBをあと1年間行うこととした。

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© 2013 日本ハンセン病学会
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