日本輸血細胞治療学会誌
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報告
院内における血液細胞処理のための指針
田野崎 隆二室井 一男長村 登紀子石田 明水田 秀一前川 平伊藤 経夫岸野 光司上村 知恵高橋 恒夫大戸 斉日本輸血・細胞治療学会細胞治療委員会Cell Processing基準小委員会
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2011 年 57 巻 3 号 p. 184-187

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抄録

既に治療法として確立している造血幹細胞移植に用いる細胞処理のガイドラインを,日本輸血・細胞治療学会と日本造血細胞移植学会との共同指針として今回初めて策定した.欧米のFACT-JACIE基準を参考にする一方で,移植施設が小規模で分散し移植に係るコメディカルの少ないわが国の状況を踏まえて,多くの施設が受容し得る内容とした.ただし,必ずしも現在の大半の施設が満たす基準ではなく「目指すべき基準(理想的な基準)」の内容も含めた.構成は,1目的,2対象,3細胞の採取,4責任者と作業者,5設備・機器,6細胞処理(プロセシング),7払い出し,8保存と解凍,9検体保存,10投与,11廃棄,12雑則からなり,教育的観点から「付」として代表的な細胞処理法に関して,解説,標準作業手順書(SOP)サンプル,記録シートサンプル,結果シートサンプルなどを設けた.今後この指針が多くの場面で運用されるように努めるとともに,現場に即した指針となるように改訂を重ねていく必要がある.また,将来的に欧米の最新の指針と同等の基準となり,また輸血・細胞処理部門認定や有害事象の監視体制を構築するのに活用されることが期待される.

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© 2011 日本輸血・細胞治療学会
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