日本小児血液・がん学会雑誌
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総説
先天性血小板減少症・異常症の診療ガイド
笹原 洋二國島 伸治石黒 精日本小児血液・がん学会血小板委員会
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2021 年 58 巻 3 号 p. 253-262

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抄録

先天性血小板減少症・異常症は,造血幹細胞から巨核球への分化およびその後の血小板産生において必要不可欠な役割をもつ遺伝子群の異常に起因し,血小板産生能低下を主病態とする多様な疾患群である.臨床的には血小板破壊亢進を主病態とする免疫性血小板減少症との鑑別診断とその後の適切な治療方針決定のために重要である.本邦では,これまでの国内施設での研究成果を基盤として,2018年よりAMED研究班による疾患レジストリと血小板蛋白発現検査およびバイオバンクによる検体保存体制が構築されている.その原因遺伝子群としては,これまで56遺伝子が既知遺伝子として報告されており,既知原因遺伝子パネル検査とエクソーム解析による網羅的遺伝子変異検索が可能となっている.本稿では,先天性血小板減少症・異常症の適切な診断と治療・管理方針の選択を目的に,疾患概念,血小板サイズ(小型,正常大,大型および巨大血小板)に分類した診断方法と診断フローチャート,各代表的疾患の概説,診断コンサルト先,既知原因遺伝子群,治療方針と長期フォローアップの概要について総括し,先天性血小板減少症・異常症の診療ガイドを作成した.

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© 2021 日本小児血液・がん学会
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