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サルコペニアと摂食嚥下障害 4学会合同ポジションペーパー
- Source:日本サルコペニア・フレイル学会雑誌(2433-1805)3巻1号 Page68-84(2019.07)
- Author:日本摂食嚥下リハビリテーション学会, 日本リハビリテーション栄養学会, 日本サルコペニア・フレイル学会, 日本嚥下医学会
- Abstract:本ポジションペーパーは、サルコペニアと摂食嚥下障害に関するエビデンスの構築を目的として、日本摂食嚥下リハビリテーション学会、日本サルコペニア・フレイル学会、日本リハビリテーション栄養学会、日本嚥下医学会の4学会が共同で作成したものである。嚥下筋は、組織学的に体性筋とは異なる発生学的起源を有しており、呼吸中枢より常時一定の入力刺激を受けていて、嚥下筋は横紋筋ではあるが、骨格筋とは異なる特性を有する。しかし、嚥下筋は低栄養や廃用の影響を受けることが示されており、とくに低栄養が嚥下筋に与える影響についてはエビデンスも得られている。サルコペニアの摂食嚥下障害は、全身と嚥下筋のサルコペニアによって生じる嚥下障害と定義され、全身のサルコペニアが確認されない場合は、「サルコペニアの摂食嚥下障害」という診断名は使用すべきではない。そして、神経筋疾患によるサルコペニアは除外されるが、加齢、活動低下、低栄養、疾患(侵襲と悪液質)による二次性サルコペニアはサルコペニアの摂食嚥下障害の原因に含まれることとする。サルコペニアに伴う摂食嚥下障害の治療は、嚥下筋の抵抗運動訓練といった嚥下リハビリテーションと栄養介入の両方が必要である。しかしながら、嚥下筋のサルコペニアはどのように診断されるべきかという根本的な問題はまだ解明されていない。そのうえ、摂食嚥下障害が一次性のサルコペニアから生じるのか否かも明らかにされなければならない。加えて、診断基準やサルコペニアが原因と考えられる摂食嚥下障害の診断方法など、さらなる議論が必要である。(著者抄録)
- 分類:咽頭の疾患; 口腔の疾患; 食道の疾患; 神経系の疾患